今月の課題 「未来へのメッセージ〈自選一年間のこの1点〉」 編集主幹 松原 清
年末の慌ただしさから解放され、正月の数日の休息も束の間、新年の展覧会、新年会が目白押し。あれよあれよと言う間に2月の声を聞いた。まだまだ本調子とはいかないが、今年の大まかな指針を持たねばなるまい。思えば神戸に本社を移し、全日本美術新聞社を筆者が引き継いだのは1985年の12月。あれから丸32年が経過した。10周年、20周年、30 周年に、各10年間の巻頭言を纏めた「夢遥」を刊行してきたが、これは筆者の全美時代の生きた足跡として残しておきたいとの思いからであり、美術に向かう姿勢、その変遷を見返す機会を持つ為でもあった。今でも時々過去の文章を読み返す時がある。若い頃の、何も恐れない物言いに新鮮さを覚え、今でもそう言えるかと自問する。ある意味、忘れかけていた熱い思いが再燃したり、表面的だった文章に苦さを覚え、僅かな自分なりの成長を感じたりする。それも、取材・編集の仕事を通じ、先生方の作品と長年にわたって定期的に対峙してこられたからこそで、「美」とは何か?の命題に、評論の立場で在り続けられたことが何より嬉しい。
全美の仕事の主題は、「報道」と「論評」である。毎月、毎月夥しい数の展覧会があり、評論紙の視点で各展を展覧し記すべきところを鑑み紹介する。年を追って繰り返し紹介する作家、また数年に一度の作家もいる。が、先生側の視点からの集積はない。ただ一度だけ「自選ギャラリー」というコーナーを持ち、これまで一番印象に残る作品を選んでいただき、先生自身で制作への思いを記していただいた。月に2名。それが6年と10ヶ月続き、全美20周年の時「美を継ぐ者たち」として単行本化し、約170名の展覧会を開催した。しかし、取り纏めまでに約7年の時が過ぎ、時系列的に各作家のズレが生じた事は否めない。
各作家の年毎の集積を出来れば!それが未来へのメッセージになる。との思いに至ったのが昨年の秋頃であった。1年間(2016年8月〜2017年7月)に制作した作品の①自選ベスト作(カラー写真または画像データ)を選び、②作題、③サイズ、④ 所属会役職(ひとつ)と⑤選んだ事由や作品に対するコメント(90文字程度)を自書頂いて弊社に郵送願い(メールでもOK)本紙にカラー紹介するコーナーを立ち上げた。既に2017年10月号より掲載がスタートしており、今年の9月号まで「2017年度」として①〜⑤の資料が届いた方より順次紹介(経費は1万5千円)し、9月号まで紹介した作品を「2017年自選集(仮称)」として画集に纏める予定である。画集掲載は無料(3冊以上ご購入を条件)。最終締切は7月10日。ご案内・確認状も順次発送予定。ご一考を請う。
全日本美術『今月の課題』の
1996~2005年を単行本に
全日本美術編集主幹 松原清 著
A5版 272頁 定価2000円