今月の課題 「ノーサイド精神とは」 編集主幹 松原 清
今、日本で一番話題となっている「2019ラグビーワールドカップ」。なんと日本は第一戦でロシアを30−10と破り、第二戦では優勝候補のアイルランドを終了間際に逆転のトライを決めて19−12で勝利し、日本国内は大興奮の坩堝と化した。そして10月5日の第3戦でのサモア戦にも38−19と、まさかの4トライ(ボーナスP )のダブルスコアで見事な勝利を飾った。
WC史上初めての8強入りに限りなく近づいた感があるが、まだ予断を許さない。この号の発送迄には決着がついていることとなるが、日本チームの強さは本物だ。生活、家族をも犠牲にしたトレーニングの成果だと報じていたが、言うは易し行うは難しである。見るからに体型では劣るチームが対等以上のゲーム運びをするから観客は熱狂するのだ。
恐らく今回のアイルランド戦が、2015 年のWC での南アフリカ戦の劇的な逆転勝利とダブった人も多かったのではないかと思われるが、更なる日本人のにわかファンの急増が窺える大きな一勝だったといえる。そう言う筆者もにわかファンのひとりだが、ラグビーの観戦がこんなに楽しく、わくわくするものだとは今迄思わなかった。そして何よりノーサイド精神が清々しい。ノーサイド(noside) とは、ラグビーの試合終了の事。試合が終われば自軍と敵軍のサイドがなくなり、勝者側(SIDE)も敗者側(SIDE)もなくなる(NO)という意味で、発祥の地イングランドでは「紳士のスポーツ」と言われたラグビー。中流、上流階級の子息の入る名門校で盛んに行われた所以だが、コンタクトプレーが激しく、熱くなりやすい局面も多いことから、ゲームが終われば試合中にどれほど激しい闘いをしていても互いに健闘を称え合おうという「紳士的な精神」を忘れないとの意味が「ノーサイド」に込められている。しかし、試合終了の意味で「ノーサイド」を使用しているのは日本のみとか。それも場内アナウンスや中継の解説の場であり、審判がコールすることはなくなった。1970年代以降、イングランドをはじめ世界の殆どの国では「フルタイム」とコールされている。
正直、日本ではサッカーブームが先に到来してプロチームも生まれたが、ラグビーはこれからだ。が、世界ではフリーガンと称する暴力的・熱狂的ファンが横行しており、このラグビーの世界にもその傾向があるという。日本は「ノーサイド精神」を守り育む素地を持つ国であると信じたい。
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