今月の課題 「コロナ禍と不安膨らむ米中対立」 編集主幹 松原 清
中国武漢で発生した新型コロナウイルスの世界的感染拡散によるパンデミックで、各都市はロックダウンを余儀なくされ、流通と経済活動が麻痺し、リーマンショックとは幾分異なる世界恐慌を引き起こしている。8月21日現在、世界累計感染者は2千253万人、亡くなった人は79万人を数える。そして、第2次感染が静かに広がりつつある。
日本では、戦後はじめての緊急事態宣言が出され、スマートな対応ではなかったが、生活補助、企業保証の支援金も支給された。しかし、待望されていた東京オリンピックの開催も吹っ飛んで、来年に延期されたが、果たして来年夏迄に世界のコロナ禍は終息するのだろうか、予断を許さない状況が続いている。日本も第2次感染が全体に蔓延し、一次感染を凌駕する勢いだが重篤患者は減少し、どうやら抗体を持つ人々が増え、ウイルスの弱毒化への変異が窺えるようになってきている。しかし、感染経路不明の無発症感染者の増加は不気味でもあり、いつ我が身が感染されるかわからない状況は依然としてある。やはり、三密など守るべきところはきちっと守りたいものである。
気になる展覧会中止も10月頃から開催されていきそうだが、既に中止を決めてしまっている会もあり、弊紙もページ組が出来ない状態が続き、2ヶ月に一度8ページ組として何とか発行を繋いでいるが、予定されている日展開催が美術展復活の口火を切ってくれることに期待をしたい。
さて、コロナ禍を契機として米中の対立が深刻化してきている。WHOの疑惑問題に端を発し、中国の隠蔽と知的財産権の不当奪取に焦点をあてたアメリカの名指しで始まった両国の鬩ぎあいが、香港国家安全維持法(効力は中国・香港のみならず全世界に及ぶとした)、ウイグルの人権問題と絡み、トランプ大統領は米国・香港自治法にサイン。中共幹部を名指しして、米国銀行と関連銀行の取引停止を示唆した。ひいては台湾の独立問題と南、東シナ海の国際法を無視した海域領有にまで及んできており、まかり間違えば武力衝突という事態になっている。
現在中国は、揚子江(三峡ダム含む)一帯(黄河一帯も)が洪水・水没の惨事にみまわれている。バッタの襲来とコロナの第2次、第3次感染の内患も抱えており、経済破壊寸前とも云われている。
日中は政経(文化も)分離で交流を続けてきた。日本の書家も頻繁に訪中して、書の源流を学んできた歴史がある。これからどうなるのか、中国批判、幹部批判したら拘束される。引き渡し条約を結んでいる国にも立ち寄れない。これは由々しき問題である。中国か米国かの踏み絵が、日本・企業にも求められている。
全日本美術『今月の課題』の
1996~2005年を単行本に
全日本美術編集主幹 松原清 著
A5版 272頁 定価2000円