今月の課題 「『国葬』の裏側で」 編集主幹 松原 清
9月27日、安倍晋三元首相の「国葬」がとりおこなわれた。卑怯にも選挙応援演説の人ごみにまぎれての銃撃による暗殺と言ってよいだろう。まだその真相さえ曖昧で、死亡原因さえ特定できない体たらくが続いている。日本の「安全保障」を最重要案件として、独裁国家から自由主義世界を守る積極的な活動を推し進め、世界的に極めて高い評価を受けていただけに今更に残念至極だ。日本の世界外交に死して尚機会を残した感があるが、「反対」を声高に叫ぶ勢力と内閣内の親中派の度を超す妨害で、親日の台湾総統、副総統の弔問来日を事前に自粛要請していた事実が判明した。中国からの裏工作とささやかれているが、「台湾有事は日本有事」と言って憚らなかった安倍元首相の葬儀におもいっきり泥を塗った行為といえるであろうし、日本の友好国をもないがしろにする失態だといえる。また、国葬後に北朝鮮が長射程の弾道ミサイルを連続して日本のEEZ内に打ち込んできており、緊張が高まっている。一方、ロシアの劣勢は悲惨な状態で、戦術核の使用云々の憶測が飛び交っている。安易な核の使用がとんでもない事態を招くことは容易に想像できるが、独裁国家の狂気は図りがたい。台湾、尖閣問題も更にエスカレートしそうな状況だ。果たして日本政府は自国を守る気持ちがあるのだろうか。防衛費についても数字遊びで実予算計上を渋るし、その資金の捻出に増税を考えるとはいかがなものか。貸借上の借金(国債は日本人が支えており、現在日本国民の総貯蓄額は2000兆円に迫る)を財政破綻の材料にして増税を宣う。
やっと、コロナ禍もおさまってきた感があるも、日本人の気質に起因するのだろうか、マスクの着用が未だとけない。政府も外で混雑箇所以外ならマスク不要を公言しているのだが…外国では殆どがノーマスクだというのに。ノーマスクで集団免疫を作ることを優先している。意外とPCR検査なしで海外往来が出来る日が近いのかもしれない。そうなって欲しいが、キナ臭い国家間では容易くスパイ容疑で拘束されかねない。
いよいよ藝術の秋の到来だ。美術展も祝賀会、ギャラリートーク等自粛を続けているが、通常の開催ムードとなってきた。しかし、内情は年配者のリタイアも進み、運営的にキツくなった団体の声もちらほら聞こえる。美術作品の購買意欲も上がらず、更にロシア侵攻に関わり、世界的な物価上昇(電気、石油製品、農作物、食料品)が深刻になりつつある。要は、政治に筋が通っていなければならない。安保があって経済があり、安定・発展が確保されるのだ。政治屋でなく政治家を選ぶことがその一歩だろう。
全日本美術『今月の課題』の
1996~2005年を単行本に
全日本美術編集主幹 松原清 著
A5版 272頁 定価2000円