今月の課題 「限りない技術の発展は吉か凶か」 編集主幹 松原 清
2月6日、トルコ南東部のシリアとの国境近くで発生したマグニチュード7.8の地震で9日朝時点でトルコ、シリア合わせて1万2千人が死亡との報道があった。M7.5程の余震もあり、建物の被害と救助活動の遅延、救出リミットの72時間も迫っている。被害状況の確認が進むと更に人的被害が拡大する。2011年の東北大震災ではM9.0で震度7だったが、今回は震度6弱ほどだと聞いた。しかし、レンガ造りの建物が一般的で脆弱な強度では完全に崩れさる震度。ビルにしても崩れたり、倒壊している現場映像を見れば明らかだ。日本も含め70 ヶ国が緊急救助活動に入っているが、復興支援はこれからだ。
トルコは親日国と聞いて8日間のトルコ旅行をしたのは、もう15年以上前となる。確かにそうした雰囲気があったが、政権が改革派からイスラム派に替わり女性は肌を露出できなくなったようだ。しかし、ボスポラス海峡の海底に不可能とされてきた連絡トンネルを、日本の大成建設が高度な技術が要求される沈埋工法で施工し、2013年無事貫通。トルコはもちろん世界中の注目を集めた。が、その後がよろしくない。トルコは追加工事費用を大成建設に今も未払いのままだと言うのだ。そして地下鉄設置は車両を含め韓国が受注。さらに自動車専用の第2トンネル工事を韓国SK建設とトルコの大手ゼネコンによる合弁企業が受注、2016年12月、海底自動車道が開通、その後自動車と鉄道の併用トンネルも建設する方針だとか。これって、どう思いますか! 確かインドネシアの高速鉄道受注でもやらかしていたし、日本政府と日本の大手ゼネコンは何やってるんでしょうね??。詰めが甘いのを見透かされている。技術を開示して全部韓国、トルコにとられちゃったということかな。
これも戦後、GHQに情報戦に対する牙を抜かれてしまった大きなツケなのかもしれない。現在は如何にライバルの情報を先取りするか、戦争にしても、経済活動にしても最重要な要素である。IT技術は今や人工頭脳AIを生み出した。非常に高速であらゆる事象に対処できるレベルに近づいた。数段上の量子コンピュータだ。鉄腕アトムではないが、AIが人類を滅ぼすかもしれないのだ。核戦争がもし起これば、ブラックボックスの塊の現文明は、生き残ったとしても産業革命以前に戻ってしまうだろう。
最近、新しいアイフォンに買い替えた。5Gだという。新アプリを入れるとIDとパスワードを要求される。覚えきれなくあきらめることもしばしば。語呂合わせで電話番号を覚えた時代が懐かしくもある。文明の発達は人間の情緒と技術が調和していなければならない。やはり、芸術は必要だ。
全日本美術『今月の課題』の
1996~2005年を単行本に
全日本美術編集主幹 松原清 著
A5版 272頁 定価2000円