今月の課題 「歌は世につれ 世は歌につれ」 編集主幹 松原 清
最近、村下孝蔵に嵌っている。ユーチューブで聞いた「初恋」、「踊り子」の曲に何故か新鮮な思いにとらわれた。初恋のリリースが1983年。今から40年前であり、私が前の会社に勤めていた最後の頃の話で、会社では受注から設計、製作、発送までを網羅する大型コンピュータの導入の案件で沸騰していたことを覚えている。私は技術部、設計科の所属で機種選定のプロジェクトのひとりとして、メーカーを決めることに関わっていた。富士通とIBMが最終的に残ったが、3次元のCADが使えるIBMを選ぶべきと技術部では意見が一致していたのだが、導入費用面で富士通に決定されてしまった。設計として部品の3次元化は、組み合せ重量、重心の自動計算と耐震や熱応力の有限要素法解析にも繋がり、極めて高い技術アップが計れるとみていたので、私個人としても大きなショックであった。高速増殖炉もんじゅに関わっていたことの自分内の「やばさ」とが相まって、結局会社を去る決断をした訳だが、平行して「全日本美術」の運営に携わる話が湧きおこるとは人生面白い。私は結構歌好きで、いいな!と思う歌はおおよそ歌える範疇にしているのだが、どうやら退社と新たな仕事の狭間で、抜け落ちた歌であったようだ。因みに少し歌詞を紹介する。「五月雨は緑色 悲しくさせたよ一人の午後は 恋をして淋しくて届かぬ想いを暖めていた好きだよと言えずに 初恋は ふりこ細工の心 放課後の校庭を 走る君がいた遠くで僕はいつでも きみを探してた 浅い夢だから胸をはなれない」。これが結構微妙なところがあり難しい。「踊り子」は村下孝蔵作詞・作曲だが、中森明菜への提供曲。サビの部分だけは聞いたことがあるも、とにかく音域が高い。何故か最近ユーチューブでもバズっているようで、高いギター演奏技術も見直されている。弾き語りのイントロの巧さ、一人ベンチャーズなど。
もっと時代は遡るが、植木等「スーダラ節」は日本の高度成長期、1961年のリリース。この3年後に東海道新幹線が開通、その10日後に東京オリンピックが開催された。私は中学2年だった。いい加減な歌だと当時は思っていたが、今思うと言い得て妙。
この仕事を始めて、先ず顔を覚えてもらう為に祝賀会、懇親会ではよく歌をうたった。当初は演歌を、そして「マイウェイ」、サザン、桑田と変わっていった。
歳周りか、今年やけに身体の検査が増え、大好きなタバコ、酒が禁止されて食生活も随分変わってしまった。せめて、少しの酒でも復活したいと思うこの頃である。もう一度花見がしたいものである。
はてはて、「酒なくて何の己が桜かな」
全日本美術『今月の課題』の
1996~2005年を単行本に
全日本美術編集主幹 松原清 著
A5版 272頁 定価2000円