第7回中日美術交流合同展より
日本南画院理事長
町田 泰宣
「山湖」
145×145
第7回日中美術交流合同展がオリンピックで様変わりした北京市内にある北京画院美術館で、10月8日から20日まで開催され盛会となった。今回は訪中団の都合で、13日にテープカット、座談会、懇親会が実施されたが、特に座談会では、前回(3年前)のシンポジウムの一方通行の解説でない本音の一端を聞くことが出来て、より有意義な意見交換の場となった。
主催は、社団法人日本南画院(本部・京都、町田泰宣理事長)と中国・北京画院(北京市、王明明院長)。後援は、日本大使館、北京市文化局で、日中の正式な文化交流行事として位置づけられており、文化交流、友好に大いに貢献する展覧会といえる。本展は日中両院の申し合わせで、50名ずつの選抜作家作品を展示するとなっていたが、今回は日本側50点、中国側41点となった。そうした事由の推察、座談会等の詳細は3面の報告記事に述べさせていただいているが、全91点より、町田泰宣理事長の出品作「山湖」を紹介させていただいた。 町田氏の作品は、3年前の合同展後から作風が一変した感があるが、これも日中合同展がもたらした影響とも思える。その時の中国側の作品は日本の水墨という観念から明らかに逸脱した試行作が多く見受けられた。例えば、パステルや他の画材を墨と混在させたいわゆるミックストメディアであり、日本では洋画に分類されるであろう。それもひとつの水墨の現代性への指向ではあるが、町田氏は墨の持つ可能性という方向で現代性を求めた。それが、翌年に結実したネガ・ポジの逆転発想での作品「張家界」であった。ある風景のフラッシュバック的描写とでも言おうか、白昼夢のような思いとは一線を画する鮮烈な記憶描写である。記憶は曖昧な部分を消し去り、強烈な印象のみが強調される。その延長線上に今展出品の「山湖」があるといって良いだろう。 「三島池から見る伊吹山、その伊吹が冠雪した姿は美しすぎる。それは、富士山の素晴らしい美しさとは異質である。どっしりと構えた伊吹の雄姿を支える三島池だが、すべてを描いては雅味がなくなる」とは、町田氏のコメントである。更なる活躍を期待したい。(松)
