高頭信子 日本画展
〈九十九谷からの連想〉


● 4月24日〜30日
● 京橋/ギャルリー・コパンダール

 

 東方美術協会会員、大田区美術家協会会長の高頭信子さんの個展。約50回にわたる個展歴を誇る高頭さん、齢93にしてまた一つその高嶺を上書きした。真に健筆だが、最近は境地ともいえる事象が増えている。この春の東方展に出品した「馬込九十九谷」では、「描き終わったと筆を置くと、そこに馬に乗った小さな女の子がいる。私は描かないのに…これは精霊なのか守り神なのか」と。筆者もそれを見たとき、そこにある確かなその象にしばらく愕然とした。自身が述べるように、「不思議な体験」が重なっているのである。今展出品の15点は全て、この東方展後に制作したと言う。高頭さんにとってこの体験の感動は余程のことであったのだ。
 かつての馬込はその起伏の多さに「苦重苦谷」とも称されたエピソードがある。そこで生まれ育った高頭さんだからこその強い思い入れが今展作の連想につながっているのだろう。掲出作もいつの間にか出来ていたと言う。親子が坂の途中でふと見上げた先、そこには赤い三日月が。その朧な景は高頭さん自身の原風景かもしれない。 (篠原)

 

赤い三日月の夜 〈F4〉