永名二委水墨画展

 

■5月7日〜18日

■たましんギャラリー(多摩信用金庫本店9F)

 

 精力的に制作活動を展開する永名二委の個展。一昨年の日本表現派賞受賞作品「海韻」(4曲パネル)をはじめ大作中心に40点ほどのスケール感の大きな、充実した発表だった。
 「海韻」は荒海の波が激しく岩礁にぶち当たり、大きく砕け撥ね上がり、一方岩礁を越えて流れ落ちる様をダイナミックにとらえた作で、岩と波の静動と強弱緩急が闊達自在にとらえられている。あるいは掲出の「奔流」は山深く渓流の激しく流下する様を迫真の筆致でとらえている。
 この2点もそうだが、永名のモティフには水と山が多い。となれば水墨画の本線である〈山水〉ということになるが、謂わゆる理想郷であるとか心象世界を仮託したものとは違って、もっと今日的な表現、つまりリアリティがあるのだ。リアリティとは、見えるものを見えるがままに描いた現実感だけではなく、見えるもの(つまり水や山などの自然)が孕む、あるいはその奥にある何ものか、それは気配であり普遍性につながる自然の摂理・真実を予兆させるゆえのリアリティなのである。そのリアリティへ向かっているところに永名の魅力はあろう。
 東京・麻布生。日本表現派同人、国際美術大賞展常任理事。     (中野)

 

 

「奔流」 30号