第50回記念 全展より
代 表 大林 せつ子
リニューアルなった東京都美術館での全日本美術協会主催第50回記念全展より、大林せつ子代表の「富士遠望」を紹介させていただく。
湘南海岸より富士と箱根の山々の合間に沈みゆく夕陽を捉えた作品である。裾野にかかる雲を真っ赤に染めながら、シルエットになった島影と抑えて描いた富士をポイントに、夕映が海全体を染め上げ揺らめく。作者は、湘南地方に住いして56年になると云うが、この光景をしばしば目にしながらいつの日か描いてみようと思っていたのであろう、大自然の織りなす色彩の神秘を自身の中で昇華した心象風景として見事に描ききった。
大林さんが全日本美術協会の代表を引き継いだのは平成16年。約30年間にわたって代表を務め、現場取材を中心にした作家集団を標榜してきた山内白葉代表の逝去に伴い新代表に選任された。以降はこれまでの路線を継承しながらも、人物、静物、抽象系にいたる作域も受け入れ、出品作品に幅を持たせて会場も徐々に変わりつつある。又、この記念展から総理大臣賞、文部科学大臣賞が復活したことは二重の慶事であろう。(松)
