個展−四季の詩−より
滋味ある絢爛美
日本藝術院会員
山崎隆夫
●【京都展】1月23日〜29日
高島屋京都展6F美術画廊
●【東京展】2月6日〜12日
高島屋日本橋店6F美術画廊
●【名古屋展】3月20日〜26日
ジェイアール名古屋タカシマヤ10F美術画廊
一言で言えば、ひっそりと咲く野の花のような存在、それが作者の山崎隆夫氏の印象である。それでいてしっかりと自分の信念を貫く作家活動を続けてこられている。ジャンルをあえて言えば「花鳥」に属すると思えるが、制作は常に自然観察の中でのスケッチから始まり、構想を無理には組み立てようとせず、描きたいイメージが沈着するまで暖め、熟成させる。だから描かれたものは現実の風景、花鳥ではなく山崎氏の心の中で昇華された作品となって具現されるのである。今回の個展は2005年に開催されたふたつの個展、「京都市立芸術大学退官記念展」全国高島屋に巡回された「山崎隆夫展−刻の譜−」以来14年ぶりの開催であり、08年の日展内閣総理大臣賞受賞、11年恩賜賞・日本藝術院賞受賞_そして12年に日本藝術院会員に就任されたが、祝事の後に大きな展覧会を開催していない。通常ではありえないことだが、常に自然体を貫いている山崎氏の場合は変に納得してしまう。
さて、今展に目を移そう。出品作は上掲の「日月枝垂れ桜」と「京の四季」の大作・四曲半双をはじめとして、藝術院賞受賞作品「海煌」、改組新第4回日展「雲映えゆる」、日春展出品の作品から小品まで充実の23点が並んだ。
「日月枝垂れ桜」は実に豪奢_絢爛な作品である。一様でなく微妙な色彩変化をもって精密に描かれた一枚一枚の花弁_それが幾条もの滝の如く垂れ下がる。しかし、垂れ下がった桜の合間から覗く太陽と月が単なる情景描写に終わらせない含みを演出する。対象となった枝垂れ桜は平安神宮だとお聞きした。何度も何年も現地に通いスケッチを重ねたが、年々桜の厚みがなくなっていく状態を目にして心を痛めたと聞く。ある意味満開の演出は桜への氏のエールが十全に入っているのではないだろうか。氏の代表作の一点となるだろう。
山崎隆夫氏は1940年新潟の生まれ。京都に移り住んで70余年。72年、78年日展連続特選。92年日展会員賞。(松原))
