―永遠の美を求めて―


日本藝術院会員
福田 千惠 
展


●東京展 6 月19日〜25日
 高島屋日本橋店6 階美術画廊
●京都展 7 月3日〜9日
 高島屋京都店6階美術画廊

 

 日本藝術院会員の福田千惠さんが、花を中心とした作品展を東京、京都で開催した。全25点のうち20点が花の作品である。
 千惠さんといえば、日展作品から人物画というイメージが定着しているが、佐藤太清氏(文化勲章受章・日本藝術院会員)に二十歳で師事し、風景はもちろん、花も多く描いており、1989年の「咲く(ゆり)」、2000年の「梅里」、「天主堂への道」、また、葛飾区柴又の長屋門のある山本亭の2面の壁絵「花菖蒲図」、最近では2009年の第44回日春展の大輪の菊を描いた「清華」、第46回日春展の「富貴花」も記憶に新しい。
 今回の花々の中、先ず目をひいたのが、横2.18m×縦1.58mの老木の枝垂れ櫻。300年以上風雪に耐え、尚且つ見事な花を咲かせ続ける生命の尊さ。千惠さんは逢った瞬間震えるほど感動したという。花弁の精緻な描写と老木の対比.存在の気を見事に描いた1点。そういえば、千惠さんの作品が著しく変化をとげたのは藝術院会員に就任された2009年を境にした頃ではないだろうか。人物はより内面性を穿つように、静物も単なる対象物でなく生命の根源を探るような擬人化の筆遣いに変化した。紹介の「麗妃」は第46回日春展の「富貴花」の表現をより深めて、大地の恵みを開花の一瞬に収斂した、いわば愛おしく育まれた高貴な女性の究極の変貌にも似た響きが漂う。凛とした枝葉に支えられて咲き誇る、牡丹の柔かな.透けるような淡いピンクの花弁の一枚一枚、その高貴な気が作家の心(祈り)にシンクロしているといえよう。牡丹の出品5点、それぞれ趣は異なるが、その中の集大成といえる1点である。
 菊花も3点あったが、 「玉姿」と題した黄色い小菊が放つオーラも又然り。枯れる寸前の最後の白菊、やや細った花弁の「閑華」も人生観を宿す。ほか、「母のような」と題された真っ赤なダリアの空間の温かさ。蓮の2枚の小品に宿る菩薩の気。広大な蓮池に彼岸と此岸を想出した学校法人平田学園・国府台女子学院講堂の緞帳になった元絵「光明」も今回出品された。
 曽祖母の花嫁衣装で愛情の絆を継承する若い姉妹の着物姿のみを描いた「二枚襲」は、人物画家の真骨頂を十全に魅せた。(松原)

 

 

 

 

 

 

「麗妃」 140×205cm