全日本美術 ALL JAPAN ARTS
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Work No.52

春雨

第63回現代書道二十人展(2019.03)
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~大字に新境地~

13面に山口青邨「さくら草」を紹介させていただいているが、深く切れ込む筆線ながら情感を内包する佳作で、表現に深さと香りを獲得しつつある。が、大字の清冽な白黒対比が黒田調の真骨頂であることに依然変わりない。しかし書表現の幅が広く、深くなるにつれて大字の趣も変化が窺えるようになった。かつての濃墨でのキレある線質でリズム感を演出するものから、渇筆の大胆な用法が試行されており、墨継ぎのタイミングやカスレに沿った濃墨線の散らしがこれまでにない書域の広さを創りだしている。菁華展には読売書法展の席上揮毫を表装した作品で、墨落ちと叩き付けた入筆の飛墨、最終部でのぎりぎりの渇筆が印象的であったが、本作「春雨/万葉集」もその路線に準じた展開の機微が窺える。今二十人展の作品に対する自身のコメントがある。「無心でと考えれば考えるほど雑念に心揺らぎます。そんな中、一瞬であってもよい“無のこころ”でと常に念じながら運筆いたしました。線と白は永遠のテーマであります…」と。作品制作の究極はこころに映じたイメージの具現であろう。表現構想が心に静かに沈着して無心の域に到達する。昭和22年生まれ、72歳。最も脂の乗った時とも言えよう。現在、日展理事、日本書芸院理事長、正筆会会長。 (松)

春さめにあらそひかねてわがやどの桜のはなはさきそめにけり(春雨/ 万葉集)91×183

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春雨 — 黒田賢一