2023年に書家での8人目の文化勲章受章者となった井茂圭洞氏の受章記念特別展が、神戸ゆかりの美術館において開催されその偉業を讃え多くの展覧者が全国から集まった。
本展は2012年の日本藝術院会員就任後、2015年に自身のアーカイブ的作品を自選のうえ神戸市立博物館に寄贈されたが、その作品を中心に新たに選抜された作品を加え、総数約70点が並んだ。同博物館は、井茂氏の師・深山龍洞氏の収蔵作もあり一東のひとつの聖地といえる。
日展での2回の特選作品は深山調の香りが高い作品で、深山師が逝去された後、明らかに雰囲気の変化が窺える。一挙に変ったのは第20回日展から第22回にかけての大字展開である。一作に最大文字と最小の比率が5〜8倍に変化している。このあと井茂調を代表する「し」が現れ出すのである。会場でそのあたりをお聞きしたが、変化の根源は青山杉雨師の大小変化の助言とお聞きした。最近の朱の古代絹本作品、黒着物に金泥の万葉集も改めて魅入ったしだいであった。関西のかな作家の偉業をあらためて寿ぎたいと思う。
(松)
