親しめる生活美術書作品
第67回一東書道会展


● 5月30日〜6月1日
● 兵庫県民会館県民アートギャラリー展

 

井茂 圭洞

「すいせん」

 

 技術を競う展覧会が主流を占めるなか、一方で生活に密着した書の在り方を長年模索している一東書道会の「親しめる生活美術書作品」展。今回は「かぜ」をテーマとして屏風、パネル、軸、岩手の秀衡塗、青森のトートバックなど様々な作品が並んだ。その中、井茂圭洞会長は人間国宝・羽田登喜雄氏の帛紗(絹)三枚セット(瑞香〈すいせん〉、清粧〈さぎそう〉、寿果〈ざくろ〉)に夫々の題で書した3点のうち「すいせん」を挙げた。歌は万葉集の巻十― 一八二四春雑歌からである。厚い絹の織りにしっかりとくい込んだ墨線に織り込まれた水仙が映える。また、伊勢神宮の式年遷宮に奉納した作品の複製を、奉納御礼に下賜された御山杉の衝立に配した藤原敏行朝臣の歌「あききぬと」も披露された。
 また、今展に併催して、一東の事務近代化に貢献して且つ緩急ある線で温かみある独自の書風を確立した八社宮翠石遺作展が開催され、故人を偲んだ。深山師の歌を深山調で書した「みはるかす」は秀逸。更に、遠周宏員、津志田沙苑の二人展(4面紹介)も開催。(松)

 

 

 


作品の前で 井茂圭洞会長