「書と装演の融合」 ● 5月29日~6月3日 ● 銀座・鳩居堂画廊3F 毎日書道展審査会員・貞香会顧問の荒木大樹3回目の個展が開催された。33点の出品。浄土宗金蔵寺住職の仏門にある荒木氏だけに、出品作の大半は仏語にかかわる素材。ただし、読みやすく、わかりやすい言葉の選択に努めているのもよく理解できる。そこには荒木氏独自の書道観があった。「書道が生活とかけ離れている現実」「素人にもわかる書」「沢山の人に見てわかってもらえる書」「部屋に飾れる書」こういう思いを表現できるのは個展しかないと言う。そして更にこれらを実現させる手立てとしての装演のあり方も今展の大きな特徴であろう。荒木氏にとって書と装いはあくまでも対等の関係。両者の競演ではなく、共演になってこそ融合し、見る人を楽しませることができる。そんな思いの詰まった33点は一作一面貌。興味の尽きない展観だ。 4点をピックアップした。「開経偈」は章草体。最近では珍しい書体選択だ。額マットには何と袈裟が使われている。「齊」は甲骨による。インド刺繍布の複雑な柄に反するように、簡潔な淡墨表現が白を輝かせる。「麗」の草書のベースは、魅せられた董其昌行草詩巻中にあるという。細線の複雑な動きの軌跡。背後の刺繍ハンカチの白さも麗しい。「なむあみだぶつ」は今展の象徴的な作品。浄土教名号を平仮名で書き、重厚なインド木版染綿布で装った。現代の生活空間に書が蘇り、更にそこに現代の信心が根付くとすれば、荒木大樹の本望であろう。(篠原)
「書と装演の融合」 ● 5月29日~6月3日 ● 銀座・鳩居堂画廊3F 毎日書道展審査会員・貞香会顧問の荒木大樹3回目の個展が開催された。33点の出品。浄土宗金蔵寺住職の仏門にある荒木氏だけに、出品作の大半は仏語にかかわる素材。ただし、読みやすく、わかりやすい言葉の選択に努めているのもよく理解できる。そこには荒木氏独自の書道観があった。「書道が生活とかけ離れている現実」「素人にもわかる書」「沢山の人に見てわかってもらえる書」「部屋に飾れる書」こういう思いを表現できるのは個展しかないと言う。そして更にこれらを実現させる手立てとしての装演のあり方も今展の大きな特徴であろう。荒木氏にとって書と装いはあくまでも対等の関係。両者の競演ではなく、共演になってこそ融合し、見る人を楽しませることができる。そんな思いの詰まった33点は一作一面貌。興味の尽きない展観だ。 4点をピックアップした。「開経偈」は章草体。最近では珍しい書体選択だ。額マットには何と袈裟が使われている。「齊」は甲骨による。インド刺繍布の複雑な柄に反するように、簡潔な淡墨表現が白を輝かせる。「麗」の草書のベースは、魅せられた董其昌行草詩巻中にあるという。細線の複雑な動きの軌跡。背後の刺繍ハンカチの白さも麗しい。「なむあみだぶつ」は今展の象徴的な作品。浄土教名号を平仮名で書き、重厚なインド木版染綿布で装った。現代の生活空間に書が蘇り、更にそこに現代の信心が根付くとすれば、荒木大樹の本望であろう。(篠原)