第30回東京水穂会書展
日比野 博鳳
「山深み…(式子内親王)」
水穂会の銀座での東京展も早いもので30回展を数えた。30年ひと昔と言うけれど京都の雅をテーマに五鳳翁の書の研究をベースに光鳳イズムを推し進めてきた実績は繋がれている。流石に古参のベテラン書家のメンバーは未出品となってきており、分派の影響も少なからずあったと思われるが、層の厚さがあり新しい会員の台頭が会を支えている。今展より注目作13点を挙げた。
敬仰作品として先ず五鳳翁の万葉集「栗島に」に足が止まる。すーうっと目線を通って心に落ちる作品である。光鳳氏の古今集より。平安の桜を想う心が反映された作だ。日比野博鳳会長は、式子内親王の歌を連ねて料紙の白い雲のような文様の流れに載せた。池田桂鳳顧問は、かな、漢字の絶妙配字で良寛の純粋素朴を伝える。求心力を念頭に文字のかたちまで配慮した上林三玲。やや窮屈なイメージだが、枕草子序文を2段の重ね行として構成した土岐妍子。素とした流れで牧水の歌を解した福島有何。万殿紳水は、一茶の句を行間たっぷりに書き染めた。文化功労者/俳人・森澄雄の句「比良の雪」をさらりと書き上げた山本万里。山本三千代「雪待月」は配字構成がいいが、印の位置が…。切れある線と余白ある空間がいきた吉見靖子。優しい風合いの水野裕子。柳沢翠明の巧みな運筆も。(松)