鈴木華水 書作展
―枕草子をつづる―


●10月24日〜29日
●銀座・鳩居堂画廊

 

 寒玉逕翠会理事長鈴木華水さんの3回目の個展。今回は「枕草子をつづる」と題し、その全編を微細な細字仮名で書き通し、13 巻の大和綴本に仕立てた超労作の展示がメイン。他にも屏風、軸、小品と多彩だが、やはり枕草子に触れたい。筆者は常々思う。確かに大字かな表現は時代に即して華やかだが、仮名表現の本質は人の肩幅の世界にあるのではないか。古(いにしえ)の平安の雅は決して仰ぎ見るものではなく、俯してその流麗に息をのむものではなかったか。そう考えると複雑な心境になるのが正直なところだが、理想だけは堅持したいものだ。そういう意味においても華水さんの細字仮名には以前から注目してきた。そうして今展の偉業を見た時、思わず35年前の宮本竹逕100帖展を回想した。筆者26歳の小紙巻頭記事である。そこには「そこにある仮名文字の群描に説明や理論はいらない」とまで断言している。今もその思いは変わらない。むしろ今展を見るにあたってそれを尚更強く抱いたのである。鈴木華水の仮名美の神髄の継承はこれからも続く。(篠原)

 

 

枕草子 第一七七段