第95回記念白日会展より
−エキゾチックな白の輝き−
日本藝術院会員
白日会常任委員
山本眞輔
第95回記念白日会展より、彫刻の山本眞輔氏の「心の旅−トレドの光の中で−」を紹介する。
昨年の白日会展でも日系人で初のマチュピチュ村長になった野内与吉氏の石膏像を出品し、話題を集めたが今記念展の石膏像はエキゾチックで白の輝きにオーラがあった。
トレドはスペインの古都。タホ川の流れに囲まれた小高い山状の地であり、城塞都市として栄えた。中世時代に建てられたイスラム教、ユダヤ教、キリスト教の歴史的建造物で知られており、マニエリスムの画家エル・グレコが暮らしていた街でもある。筆者も3度この地を訪れたが、乾燥した空気に空はどこまでも青く、女性たちはシャイだが、陽気でおしゃべり。目鼻立ちのはっきりとした少女や若い女性の多くがギリシャ彫刻の女性像を彷彿とさせる。
山本氏は現地を訪れたなかで受け取った感動や、そこに流れる歴史的情感、そうした現地のイメージを大切にするのだと語る。又、「彫刻家というのは旅行中は画家みたいに風景をスケッチしたりできないから自分の心をスケッチ、メモするんです。遺跡の所に女の子が腰を下ろしているような、そんな風景を見るとフッとイメージがふくらんだりします。私はあくまで一番最初のイメージを大切にしていますから。そうした歴史背景を感じさせる土地での何気ない出会いが作品に繋がっていくのです。」とも。それが、氏の長年続く作品創りのコンセプトになっているのである。
2017年、古川美術館で開催された氏の「彫刻60年の軌跡」展で「祈り−生命の讃歌−(石膏1984年)を拝見した折の感動が、今作との対峙で甦った。小品ながらも輝きを放っている。筆者の一番気に入った角度で作品撮影をさせていただいた。片手をひろげて頬につけ、どこか遠くを見るような眼差し、ややディフォルメされた長めの首、夢見る思いを内包した愛しい女性表現である。 (松原)
