二紀会会員 塚本裕志 個展
● 5月9日〜14日 ● 銀座 サロン・ド・ジー展
二紀会会員の塚本裕志氏の個展。出品作品20余点のうち、2点ほどが旧作であるが、現在の作風との差違を作家自身が確認して次のステップに活かそうとあえて対比しているとお聞きした。10年ほど前の「湾岸事務所」は堤防の内から3階建ての事務所を見つめる後ろ向きの女性を描いた作品で、シチュエーションは現在と繋がっているが、色調は極めて淡い。それが、5年前の水門に1匹の犬「侵入者」では、空は明るいが、建物は濃く、メリハリとテーマが明確になった。 今展は、その5年前以降の近作が並んだが、監視塔や美術館、近代的な一般住宅の建物と女性や犬の組みあわせでシュールなある状況を創出してきた。第69回二紀展「Summer time」はまた新たな展開を生んで、「High Noon」へと表現を広げている。閉じこめられた不思議な光りと影の世界。登場する人物はみな無表情で犬の方に生命力を与えている。掲載作もまた然り、北欧風なひと気のない家々が、対峙する二人の女性の儀礼感を増幅させる。近隣愛のなさと孤独を描く。(松)
High Noon (F50)