斎藤 栄一
澄みきった海とは不釣合な荒れ果てた廃屋の淀んだ領域に、開かれた天井から射す一条の光は幾筋もの救いの糸を照らし出すようだ。その影部中央の沈殿した濃紺の水溜にもカンダタの蜘蛛の糸は降りていく。 (松)