浅野輝一軌跡展Part III 開催中!
in北海道・置戸ぽっぽ絵画館


第94回 浅野輝一展
「日々の情景から…」


● 9月15日〜21日
● 銀座・ギャラリーあづま

 

 画家浅野輝一が94回目の個展を開催した。そして今、北海道・置戸ぽっぽ絵画館において「浅野輝一軌跡展Part III」が、来年10月までロングラン開催されている。95回目の個展である。来年には100回に到達する予定だ。恐るべし執念と言いたいところだが、よくよく考えてみると浅野にとっては自然な流れだったのかもしれない。「身近な現代社会に於て、日々繰り返されている様々な情景に視点を置き、60年近く描き続けてきました」と言う。この「描き続ける」ことに重要な意味と意義が潜んでいるように思う。言葉は簡単だが、実際はそう容易くない。しかも60年だ。以前、浅野から聞いた話の中で、随分印象に残っている言葉がある。教育者でもある浅野は、理事長を務める学園の美術教師の採用にあたって信念があると言う。「絵を描かない美術教師は採用しない」と。なるほどと理解した。世の美術教師は往々にして教員業務に追われ、自分の作画の時間を持てないのが実情。されどそれでは技術の向上は望めないどころか授業にも影響が出てくるのではないか。つまり美大卒業時の技量のまま教師生活を続けることになる。浅野はそれを嫌うのだ。だから自身も何があっても描き続ける。作品は相当の数になる。世に問う。その連続の結果が数字になって表れているだけかもしれない。既に100回展の構想もあると言う。どんな景色が見られるのだろうか。楽しみで仕方がない。
 さて今展を詳報する。ギャラリーは銀座のど真ん中。1階と2階を連動して使える壁面仕様。路面のウインドーからは容易に作品を見ることができる。しかも1階には人が常駐せず、誰でも気軽に作品と接することができるのがいい。そこに浅野の120号大作「現代の風景」がある。三層に重なった人間群像に思わず息をのむ。階段壁面には小品が10点。2階には上掲作を中心に7点と独自に開発した蒲鉾板の絵が並ぶ。約30点の展観だ。その中から「流れゆく時」を掲載した。中央に横たわる黒のラインの強烈に随分見入った。こういう作調に初めて接したせいもあるが、おそらくこれからの方向性を示唆しているように見えた。以前は黒を下地にしていたが、今は前面に出してきている。停滞気味の世情を憂えてか、なんだかスカッとする心情になった。まさに的を得た画題。現在の浅野輝一の真骨頂を見た思いだ。と同時に今もまた描き続けているだろうことが脳裏を過った。
 前述の北海道展の詳細は以下の通り。浅野輝一軌跡展Part III:置戸ぽっぽ絵画館(北海道常呂郡置戸町字置戸456-1・問い合わせ先は0157-52-3742):11月1日〜2026年10月25日まで。浅野芸術が集約される。(篠原)

 

 

 

 

流れゆく時 〈F50〉