第71回浅野輝一展
「現代の風景から…」


● 8月22日〜27日

● 銀座/シロタ画廊展

 

 実に71回の個展回数に驚かされる。年2回のペースで開催してきたと言うが、それにしてもそれを35年もの長きにわたって継続させるパワーは一体どこからくるのだろうか。「誰にもできないことをやる。それは個展を徹底的にやること」と浅野は言う。浅野の画面は常にその時の社会現象を共有する。この5年間に描きだされた画面には震災の風景、震災への思いを根底に偲ばせ、その上で「苦悩する人々との連帯感や人間愛をベースに制作」されたものがほとんどだ。「絵描きだからこそ見いだせる美」があると言う。それは「悲惨の中にある美しさ」として浅野の心情に宿り、スケッチではない心の風景の作品化が始まったのだ。
 新作3点を含む18点の出品。号大作2点はいずれも最新作。その内の1点を紹介する。人体が重なり浮遊する光景がまず目に入るが、実は上方の雲の姿も人体に例えている。そこには茫洋とした夢と希望を抱く人間像の抽象化がある。具象と抽象の混在に不安定を描きだす画面はいろいろの物語を想像させる。(篠原)

 

 

 

  

 浮遊する人 I  162×194cm