塚田稔・第13回個展
濃密な色彩に宿る象の具現


● 6月24日〜29日
● 北青山/Gallery Concept21

 

 日本画府副理事長塚田稔の13回目の個展が開催された。コロナ禍中に制作した新作を中心に約30点の展観。塚田氏といえば5月に開催された70回記念日府展の記念行事に奔走。脳科学者でもある自身の知識を活用して、芸術と脳の果たす役割をいろいろの角度から検証する体験型コーナーを設け、ギャラリートークやワークショップを交えて、未来志向のアートシーンを演出した。そして休む間もなく今回の個展である。その情熱たるや。出品約30点の画面にもそれを如実に窺うのである。会場は150号大作を中央に、20号、15号などの強烈な塚田オンリーの原色画面が取り囲む。その中からまず「与論島の十五夜踊り」に触れよう。鹿児島県最南端の与論島に伝承する重要無形民俗文化財。この踊りは島内、琉球、大和の芸能が混じり合って伝承されてきたとされる特異の文化だ。塚田が着眼したのも必然であろう。そもそも異種のモチフを巧みに組み込み、主題を創造するのが塚田のオリジナリティ。この芸能と根幹は一致しているのだ。画面が生き生きと見える要因の一つではないか。南国の真っ赤な太陽が緑の海と青の着物を燦然と輝かせ、熱い空気が見る者に迫ってくる。「揺らぎと響き」は塚田の脳研究の一環から生まれた直截簡明の抽象表現。白く揺らいでいるのは糸のコラージュだ。それが絡む長方の赤の物体。右側の単独の赤の存在もなくてはならない。視覚を揺さぶり、人心に響かせる実験的な画面は塚田の真骨頂ともいえるだろう。そして風景から「ワイン街道の風景」を挙げる。中央の黄のベタを象徴した構図。離れるほどに手前のブドウ畑が細密に見えるのは何とも不思議だ。塚田の風景に共通する濃密な色彩に起因しているものと思われる。 (篠原)

 

 

与論島の十五夜踊り 〈20F〉

揺らぎと響き 〈20F〉

ワイン街道の風景(アルザス)〈12F〉