−刻・そして存在−
深澤義人展
●11月19日〜25日
● ギャラリー八重洲・東京
十字槍の剣先のように、四辺からせり上がりながら突起して交点(中央)を頂点とする。素材は極薄の銅板の打ち出しで、絵具の擦過から赤銅色が美しく、その存在を確かにしながら緊張感の張りつめた、インパクトある作品である。
このX型には何がこめられているのだろうか。
深澤は幼少期を片田舎で過ごしている。清流が流れ山々を望み森に遊ぶ、豊かな自然の生命で過ごし、自身がエッセイに綴っている如く“自然密着”の日々が、少年の心に自然とはじける生命を刻印していった。そして今、深澤は上野・谷中にアトリエを構えている。まさに都会のオアシスで、毎日、霊園の中を散歩する。春の桜並木は有名だが、桜や銀杏、椎、楠などの老大樹が抱え、かつ放つ生命感、エネルギッシュで堂々たる存在感に圧倒され、また畏怖・畏敬の念やスピリッチュアルなものに包まれ受けとめる。
この作品にこめられているのは、その生命感であり、樹(自然)の聖なる精だろう。その溢れる気を凝縮させ、存在感を深めた。
1937年栃木県生。2000年から自由美術展に出品、同協会会員。(中)
