〈美術評論家・赤津侃企画〉
第7回『時代の眼』シリーズVol.1
布施木 多恵子展
●7月7日〜12日 ● 銀座・ギャルリー志門
50号前後の作品が四面に並ぶ。色調は地色として青、水色、白を基調として、そこに削ったというか引っ掻いた線が画面いっぱいに這いずり回っている。
地色は、色自体の情感は持つものの飽くまで平面的であり、線もまた格別の造形に到るわけでもなく、陰影もなく、やはり平面的である。それでいて作品は少しも平板にならないのは、あくまで無作為的に見える線の軌跡に、作者の、これも意図的でない、日常のリズムや想念が辿られているからではなかろうか。
掲出の「青と白の旋律14―03」を見てみよう。キャンバスを青と白で左右に二分し、線が引かれる。削った線は下の色を見せ、いくつかの多様で不揃いの瓶の形を結び、又次へと移っていく。数字やアルファベットが押印されたように登場するが、格別の意味を読みとることは出来ない(数字等の代りにティッシュペーパーの欠片が貼られたりもする)。これだけなのに、向かい合い、囲まれているだけで心が休まってくる。線(軌跡)のリズムが心拍に呼応するからなのか、不思議と心惹かれる、類のない作家独自の世界だ。(中野)
