2013日洋会選抜展より

名誉会長

日野 耕之祐

 

 立つ男は画家自身であり足もとの猫は何匹かの代表というわけで、アトリエの日常のひとこま。画家の大好きな、気持ちの詰まったブルーに直線を画して壁、床、天井となり、壁には絵が掛けられ、左手に大きな絵が壁に寄りかけてある。
 ただ、それだけである。
 青一色の広々とした空間に白い姿の男と猫、そして赤や黒の小さな四角。ただそれだけだが、この空間はただの空間ではなく、実に存在感のある空間になっている。
 そこにこの画家の目指す究極の具象絵画のありようが見えてくる。
 ブルーを基調に白、赤、黒の色面のバランス。壁・床・天井と人物と猫、そして絵のバランス。そして色とフォルムの緊密なバランス、そこに節度と秩序のある画面が生まれ、画家の思いのいっぱい詰まったブルーが広大無辺な広がりをつくり、画面を画かくする黒線が緊張感を導く。
 可能な限り簡潔化をはかりながら、あふれる豊かさを求める。ぜいたくな絵画である。(中野)

 

 

男とネコ