カレンダー10号記念
桜井 実 水彩画展
―暦の四季―


● 9月30日〜10月5日
● 甲府/藤村記念館

 

 全日本美術協会委員の桜井実さんの個展。地元甲府に根を張り、「絵を通じて観光とまちづくりに貢献したい」思いを人一倍強く持つ作家。前回2023年には「信玄公没後450年記念」として、今回同様甲府駅北口まちづくり委員会主催で水彩画展が開催された。この時はなんと2000名を超える展観者を迎えたが、今回は前回の半分の会期でありながらも約1300名が展観した。桜井さんの地元への思いがかなり浸透していることを窺わせる。
 今展は2016年から制作しているオリジナルカレンダーが10号の節目を迎えたことからその記念展として開催された。カレンダーに使用した作品の中から32点を展示。同時に全作を収めた作品集も刊行。この10年の足跡を回想するとともに、これからを展望する絶好の機会ともなった。今展から四季の代表作4点と桜井さん自身も言う「心象の絵」1点を掲載した。「雪の小海線」がそうだ。「何とはなしに郷愁を覚えた」と言うその絵は、筆者にとっても他作とは違う不思議な感覚で画面を見つめることになった。そこには技術を超えた心の叫びのようなものが介在している。瞬時瞬間の哀愁のシーンの定着。敢えてトップに挙げさせてもらった。4点は春夏秋冬それぞれの季節感に満ちている。何れも透明水彩の動感が壁を作り、水を流動させ、焔を燃え立たせ、荒波を砕く。(篠原)

 

 

吉田の火祭り 〈P20〉

 

 

パリの街角 〈P10〉

雪の小海線 〈P10〉

水煙の仙娥滝 〈P30〉

荒海・佐渡 〈P25〉