―第90回新構造展記念―
第6回新構造東京展より
● 2月21日〜3月5日 ● 国立新美術館
理事長
中谷 時男
一般社団法人新構造社はことし90回展を迎える。本展の母体・構造社は大正15年、斉藤素巌・日名子実三により在野の彫刻団体として設立され、昭和11年に新構造と改名、現在は絵画、版画、彫刻、工芸、写真の5部門をもつ総合展として開催している。この理事長を務める中谷時男氏の東京展の出品作。
モティフとなった八方尾根は、白馬村の南西部を占め、北アルプスの後立山連峰の唐松岳(標高2696メートル)から東に展開する山稜。日本有数の山岳スキー場があり、ハイマツ、コケモモ、タテヤマウツボグサ、クロマメノキなどの高山植物帯が広がり、多くの観光客を集めている。田舎の田園や民家の風景、海や港、、花々など、あるいは海外での取材など何でも描く。それらの中で山岳は大事なモティフのテーマであろうと思われる。4年ほど前の個展では小品で鳥甲山やネパールから遠望したヒマラヤ、昨年は大岡村からの北アルプスやマッターホルンなどが出品されていた。昨年の本展出品作「深閑(カラマツの枯木)」は、この八方尾根取材の途次の嘱目ではなかったろう。
とにかく取材旅行を内外を問わずマメに繰り返し重ねている。40年余にわたる写生行脚の軌跡はそのスケッチを見ればわかることだが、実に丁寧に細やかに、同じモティフでも立ち位置(視点)を変えて6号から4号大に描き留めている。その蓄積があってこそのタブロー(本作品)であることが理解される。
真青な空に湧く雲を背景に第3ケルンが屹立する。稜線や岩々が折り重なり、降り注ぐ陽光の様を白からブルーの諧調でとらえ、氏独自の大胆な面分割と再構成が加えられ、大気の積層と瑞々しい美が生まれる。
1942年千葉県生。72年新構造展、千葉県展に出品。現在、習美会会長、新構造社理事長、日本美術家連盟会員、千葉県美術会理事。 (中)
