第74回一線美術会展
橋本 光
「風跡 TSUREBARI
―夫婦―」
今年の出品者数は昨年をわずかに割ったとお聞きしたが、お互い切磋琢磨しながら作品レベルを堅持しており、受賞作品も見応えある。審査員も含め、注目作を挙げた。
橋本光理事長「風跡」シリーズは、今回夫婦の図に発展。さらっとユーモアで、しかし描き込んだ作品で勝島風景を軸として空を展開、向こうにあるであろう「蓮池」の地を連想させ、風に戯れる雲を描く。ミホブルーの裸婦群像が奏でるポーズのリズム、床の橙色が青緑系と軽やかな補色で繋いだ江口ミホ。スバル360と自転車の残骸、60年代の日本を振り返り、懐かしさ感さえある糸井優の視点。白菜の葉脈が宇宙までをも紡ぐ笠原久央の世界、今回は妖艶な裸婦を浮かべた。画面を究極まで整理して意図を込める高橋留三郎。渓流の真中で水流と風雨に耐えて尚存在感を残す大岩に、悠久の時間を描く長谷川肇。Mとは作家本人か、心の中の情景は神谷真由美。色彩バランスが素晴らしい。サクスホンを中心に楽器のパーツを調和良く組合わせて音を紡ぐ小林貞子。鳥の心象形象がいきた小内八重子。キタキツネの鋭い視線と悠然な描写の田仲茂基も注目作。上野からの夜景の巧みな捌きに足を止めさせる遠藤雅美。市川紘子の情景も。
(松)
