今獅々貴美子展
―刻(景・生・人)―
● 6月7日〜12日
● 銀座・シロタ画廊
昨年11月の個展開催を中止した今獅々貴美子さんの銀座個展。緊急事態宣言が断続的に延長、再延長と発令される中、黙々と自分の中の作品イメージを追い求め、作品にリメイクする前の初期構想をドローイングを主体とした「思いの原点」の発露、言い換えれば作家の心の引き出しを垣間みる27点の作品展である。
開催の案内に「コロナ禍で世界の人々が急速にデジタル技術で繋がり、改めて地球規模で物事を考えさせられます。螺旋状に流れていく『刻・刻』の連鎖の中で、水のあるこの地に、私は奇跡ともいえる『生』を受けたことに感謝せずにはいられません。里山風景・生物の発生・人々のエネルギーを円環の中に墨で表現した作品。制作していると、若い時の色彩豊かな情熱が再び湧きあがり、色をなくして、色を得ました」とある。これが、この発想が「私の原点」と言い切る。
円環という発想は、正に心のキャンバスに湧き出してきたイメージの世界だ。上掲の図版を例にとれば、「鎮守の杜」は川と小山がある故郷の景の深層イメージであり、山の階段の突き当たりの社へと導く。そこでの秋の祭りへとイメージが「人型」に飛躍し、踊りの原型となる。「花」は種子が拡散する海、空のイメージだ。出口を求め、この世界で蠢く人々の「人」。人物のアールヌーボー的デッサンの線、マティス的な趣が印象的だ。(松)

刻(人3)
