今獅々
貴美子 展
― 帰りたい情景 ―
■11月10日〜15日
■銀座・兜屋画廊
徳島生まれの画家にとっての原風景は、広がる田野であり、点在する溜池であり、うっそうたる樹立ちの鎮守の杜であり、小高い丘の向こうに広がる明るい空などであろうか。そんな原風景を描き続けて20年が経つ。次第に溜池や田や家などが記号化され、簡潔かつ端的になることによって、原風景は一つの象徴性を獲得して、普遍性を帯るようになり、見る者誰にとっても夫々の原風景となってきた。
そこで1985年以来、隔年に開いて14回展にあたる今回は、もう一度、原風景を具象表現のなかで見つめ直し、新たな記号化への出発点にしようとの企図のもとに開催、その試みはほぼ成功に終ったように見受けられる。
120、100号をはじめ60、40、30号から小品まで16点の発表だったが、すでにスタイルも具象に帰ったとは言え、自身の方程式をもっており、加えて自分の色をも持っている。要はそこに心象風景としての里山の情緒が漂い、かつ精神性が宿るかであって、そのことも「鎮守の杜」シリーズに見られる如しであろう。 (中野)
