田中浩一展― 魔 都
2009 ―
田中 浩一
■8月17日〜22日 ■東京都中央区京橋 ギャラリィK
美術文化協会会員の田中浩一氏の個展。
果たして今、私達が住み、喜怒哀楽の中で暮らしている世界は虚構の世界なのでは、それとも強力な魔法をかけられ、意図的に負のスパイラルに入った幻想世界かもしれない。田中氏は今の都会を「魔都」と呼ぶ。巨大なビルにすし詰めにされた人々、満員電車で通勤するサラリーマンの群れ、夜には巨悪が闊歩する暗黒の街へと変貌する。人と人の和もちぎれ、友愛のカケラさえ持たない人種が化かしあい、途方もない犯罪が萌芽する二層境界の河。
その都会を氏は東京と大阪に喩える。都会は人間本来の善性を毒牙によって食いちぎる魔都と定義する。これは、氏の対極表現なのである。この現実はどこか間違っている、人はこういう生き方しかできないのだろうか、との心の叫びなのである。ドイツ新表現主義の深層原理と趣を同じくしつつ、観者に、そして作家自身に問い続ける。我々は何故存在しているのかと。 (松)
