湖沼山河―山口賛治 油彩画展


■3月6日〜11日  ■大津市歴史博物館賞

 

 湖沼山河をライフワークとして画業を深めてきた山口賛治氏が、画業50年を記念して回顧展的な大個展を大津市の歴史博物館で開催した。折しも、この個展前の京都美術工芸ビエンナーレ2012で氏の出品作「湖」が、美術部門で大賞を受賞。そのお披露目展をも兼ねた。
今展では30年以上前の光風会時代の小品から北海道の雨竜沼、琵琶湖(八幡水郷、湖北の葛籠尾崎)、尾瀬等の取材の代表的な大作が並んだが、山口氏の作品は、殆どが曇り空に一条の光が洩れ来る微妙な空間の中に湖沼山河が捉えられている。一本一本の葦や草木を描いていないが、幾重にも塗り重ねられたマチエルは的確に微かな風を受けてたなびく気配を伝える。簡潔なフォルムも実に静謐感をおびている。大賞受賞作「湖」はその殆どを湖面とした大胆な構成だが、中景の松の小島と遠景の岸の間の湖水の輝きがぐっと視点を誘導して凛とした爽快感がある。そして、もう1点の湿地に注目した。空もなく、水もない一見アンフォルメルの作品だが、写実。今後の展開が楽しみだ。(松)

 

 

湖(湖北 100号S)

湿 地(渡良瀬遊水地 150号P)