信越雪景色 −棚田と山里−

二元会名誉会長
嶋津俊則 展

● 2月28日〜3月4日
● 大阪・ナルミヤ戎橋画廊

 

 二元会名誉会長、嶋津俊則氏の地元大阪での個展。三年前の尼信会館での企画「画業50年記念展」に続く開催であるが、嶋津氏の日本の風景のみでの個展を見たのは初めてのこと。それもそのはずで、氏自身も50年ぶりだと語る。
 嶋津俊則と言えば、ヨーロッパ風景で知られる。二元会には大作「歴世の街」シリーズで、石の街を長く続けて、中世から延々と息づく都市国家の盛衰を重く暗いイメージの石の文化として重厚な筆致で作品に残してきた。
 その反面、個展に於いては地中海のニースの海浜やパリの街並を色彩が溢れんほどのカラリスト振りを発揮した作品として描き、実に対照的な制作姿勢を貫いて来た。随分昔だが、「暗く重い歴史への一種の逃避が、カラリストの一面をつくって、私の精神的なバランスをとっている」とお聞きしたことを覚えている。
 その「歴世の街」から「巡礼の道」シリーズに移行、それも2010年「(巡礼道)サンチャゴ」で最終編を迎え、予てから興味あった仏教の源流、インド・チベットに目を向けた。約五千メートルの高地への取材である。そこで氏のカラリストと歴史観が融合した爽快な作品「チョモランマと僧院」が生まれたが、その後病魔に冒され、苦しい葛藤から布による独自のコラージュ・彩色技法を研究、制作意図の必要に応じてそうした作品が生み出されてきた。
 体調も快復された中での個展となった今展では、発表は少ないが、これまでも日本の山を多く取材してきた氏の「日本の山の風情」、それも信越を中心とした棚田、山里の雪景55点が並んだ(S4=4点、M8=51点)。
 その1点「松代の棚田」に注目した。複雑な高低差を利した棚田を前面に配して_雪解け面に反射する穏やかな光とハイライトの残雪をポイントとして布コラージュに彩色された点在の森を繋いで、山の上の曇天の空へと目線を巧みに誘導している。曇天の光量と池への絶妙な反映「妙高いもり池」も氏の的確な色調把握を物語る。 (松)  

 


 

松代の棚田  M8