第37回日展より

三原 捷宏

「晩 夏」

 千変万化して決して見あきることのない波。波を執拗に追いつづけシリーズ制作として発表。この作品は山陰の北長門の青海島での取材という。
 眼下に点在する岩に波がぶつかり飛沫をあげ泡をつくりながら引き、再び寄せては砕ける。ひとときも休まず繰り返す様はいくら見てても見飽きることのない岩と波の造形円舞。それに光が加わってさらに色と形の競演。水も光も形ならざるものを象(かたち)とし一枚の画布にとどめる、何よりも自然観照の深さと眼力と描写力が求められる。動かないのは岩ばかり、その岩と光に戯れる波の一瞬をとらえて、しかもとどまらせない。自然の不思議とエネルギーと造形の妙の神秘と美の世界だ。  (中)