「人―アーティストが表現する人物」出版記念企画。
案内に「1972年、二科展に出品してから34年が過ぎました。思い起こせば、『メルヘン』、『裸婦』の時代を通り過ぎ、91年頃から『e
legy』を制作テーマに人生の悲哀(の象徴を)表現しようと模索しながら描いてきました。美の尊厳とは、作品に自らの思想を投影し、創造性を確立させてこそ生まれるものと思っています」と作家の言が記されてあった。氏はずっと作品のモデルを務めていた最愛の奥様を二科展総理大臣賞受賞の年(02年)に亡くされた。
その悲痛な思いから再び絵筆を握る決心をするのに1年以上を要したと聞くが、描き続けることが最愛の人への思いを繋ぐこととなる、そう思ったに相違あるまい。「生きる」空しさ、悲しみ、それらを真っ正面から見据え、「生」の意義を問う。今展ではそんな思いが画面から滲んでくるような「燃えて候」に出合った。老いらくの恋を特有のマチエルで構築しているが、表情描写が何とも言えず雰囲気ある。同様、少女の死を予感させる「線香花火」も。また石っころ二つに男女の顔を潜ませた作品は新展開を予感させるものだ。 (松)
