中島 敏明展
ここ10数年間、文明の中に埋もれて出口さえも分からなくなりつつあるピュアーな人間の心を追い求めている中島敏明の「elegy」シリーズは、唯一最大の理解者であった愛妻をモデルとして描かれてきた。様々なキャラクターが交錯する画面 から人間(女体)自身の持つ表情を抽出し、テーマ性が深くなっていくのが年々に感じられる程の進化が窺えたのは衆目の一致するところだろう。 01年8月、第86回二科展の作品「ウズクマル」は実存性からいえば氏の最高傑作である。しかし、この作品の完成とともに氏は最愛の妻を亡くしている。なんという神の悪戯か。しかし、茫然自失になりそうな中で必死に描いた妻と子供の面 影、思いが「慈愛」である。この作品が総理大臣賞を受賞する。今展は、この氏の集大成とも言える2点を中心に、そのエスキース他この作品が生まれる歴史的流れの作品が並んだ。新たな挑戦がここから始まる。 (松)
■ 4月13日〜23日 ■ちばぎんアートギャラリー(日本橋) 慈しみ F130
ウズクマル F130