全日本美術 ALL JAPAN ARTS
Menu
Work No.1

静

静(2002.03)
画像をクリックすると拡大表示されます

独立美術協会会員の伊藤弘之氏の恒例展。隔年開催の画廊企画展だが、今回はベネチア風景を中心として、氏の代名詞的な木馬の作品も並んだ。
昨年は、神戸でベネチアの作品が展示されたが、その巡回の意もあるようだ。
回転木馬の馬が大空を駆ける。この発想のヒントは神戸元町画廊のS氏との話の中から生れたと聞いたが、氏の作品は童話的な画面とならない。シュールな奥深い想いが画面からにじんでくるのである。いわば、空中の馬は氏自身の心の眼である訳だ。
上掲の″静″は夜のサン・マルコ寺院、運河に浮かぶように立つ中世の建物の空に月が朧に浮かび、月の青い光に運河がゆらぐ。氏はただ目の前にある風景を描くのではなく、その地の持つ歴史の流れを描こうとしているのである。これは、少し前のアメリカ、グランドキャニオンの大地と地球という大きなテーマをとらえた思考と共通するものであり、ある意味、時間の流れの中の″気″をいかに画面にとらえようとしているか、何げない現在の様々な景、その存在を見つめる眼が、伊藤弘之の絵画を創っていく。今後の展開に期待したい。(松)

← 伊藤 弘之の作品一覧へ戻る
静 — 伊藤弘之