多田洋子展
昨年9月、在住する千葉のギャラリーMUTSUでの個展を拝見したが、今回はよりエネルギーを感じるものとなった。
「都市の中のビジュアル的な記号やサインを通して、現代という(時)を意識した表現の中に、アンヴィバレンスな崩壊感の中での個人の在り方や生活感を感覚的に表現したい」との作家のメッセージがあるが、貧富、愛憎、静騒といった相対的な感情が交錯して時をむさぼっているのが都会であろう。どちらかといえばマイナーな部分に視点を置き、マイナー故の人々が持つ生きる、生き抜くという強烈なパワーを画面に彷彿とさせるのが多田さんの持ち味といえようか。
紹介の「STOP and GOY」は、ニューヨークのストリート絵画を連想させるが、一見乱雑にコラージュされた画面から声、音が聞こえてくるようだ。そこがこの作品のコンセプトだとは思うが、これに画面の深さが加わればさらに作品が語りだしてくるように感じる。それには描き込むデッサンの精密度を上げて透過性を持たせられるかによる。最近指向しているコンテデッサンを取り込んでも面白くなるかもしれない。
(松)
