―「黙」― 藤岡絵里展


■7月6日〜11日
■銀座・ギャラリーオカベ


  近代美術協会会員藤岡絵里さんの個展。昨夏第45回近代美術協会展近代美術協会賞受賞作「懐かしのinter collegiate」の大作を中心に全14点の出品。副題にもなった「黙」シリーズ130号も含めた、抽象、心象に画業の精魂を傾けた作品群の展観である。
 藤岡さんは人一倍強い色へのこだわりを持っている。そこには一貫した画家のテーゼがあり、実践者としての自負もあるだろう。かつて、松本富太郎は「人生に一つ動かない心構え、美への理念をもった作家の絵は、それなりにまぎれもない肖像画になっている」と述べたことがある。藤岡さんの絵の根底にある青と赤の色面は一貫した固有色であり、作家の心の肖像画ともいえよう。「仮面の奥」の最深部のシアン、「さくら貝の詩」の全面のレッド、掲載作のパープルはまさにその象徴で、苦しみながら探り当てた自己の本質の深層部なのかもしれない。
 一方、画面を縦横に走る描線にも目を向けたい。殊更に主張したそれではなく、靜に蠢きながら線端にまで意が届いている。だから線が生きる。これも画家の理念に違いない。      (シノハラ)

 

もうすぐ……あめ  (12F)