第90回記念光風会展より
田中 実
「ジャイプールの幻影」
大正12年生れだから田中実氏は今年で満81歳になられる。二年前の東京銀座画廊美術館での傘寿記念の大個展が思いだされるが、水彩の人物画一筋で歩んでこられた足跡が一望できるものであった。
「水彩画で油絵と並んでも負けないような画面をどう構築するか、ということが光風会、日展に出品以来の私のテーマ」と以前お聞きしたことがある。水彩連盟の理事長としてトップにある今でも、光風、日展にはそうした信念が貫かれている。
90回記念光風会展に出品の本作も、しっかりとした骨格と色彩配置の視点空間を考慮したものであり、インド取材の思いをサリー姿のモデルで再現している。ジャイプールは18世紀のマハーラージャで繁栄した都市。街全体が赤砂岩のピンク色。背景にそうした色調を巧くアレンジして自らのイメージ空間とした。(松)
