洋画家・加藤三男氏と初めて言葉を交わしてから20年近くなる。モダンアート展の会場であった。その以前からも「セニョール」シリーズの巨大な自画像に圧倒され、どんな作家か非常に興味をもっていたのだが、その人柄と絵画に対する真摯な思いを知って私自身がファンになってしまっていた。常に自画像の中に思想や社会性を内包させながらも押しつけでない謙虚さと、その思いを伝える技術力に裏打ちされた表現力を持つ加藤氏自身の人間力に魅せられたからでもあった。 1971年安井賞展出品、73年アカネ画廊、73年紀伊國屋画廊で坂崎乙郎氏の企画で個展を開催するなど一躍画壇に作家としての地位を築いた。また、坂崎氏の奨めで85年(56歳)から4年間のスペイン留学を果たし、また、喜寿で団体展を辞して個展中心の制作活動に入る等、常に前向きな姿勢は86歳になる現在も変わりない。
今展には、70年頃から現在までの作品約65点が並び、訪れた展覧者の足を釘付けにした。自画像の目力の凄さ、大胆な色彩センスはカラリスト振りを十全に発揮している。3年後に同館の大展示場で再挑戦の予定。(松)

忘れざる日 100F 1972
