1961年より出品していたモダンアートを、2005年喜寿を迎えて第55回展の出品後退会、フリー宣言した加藤三男氏。自分の心に沈着する現象の本質や自然と人間社会に跨がる諸問題を絵画表現とすることが氏の考える「幻想の世界」であろう。上野・松坂屋での隔年個展も11回を迎えた。弊紙企画の回顧的個展を兵庫県立近代美術館分館・原田の森ギャラリーで3度開催しているが、その都度新たなコンセプトが加味されている。
今展では、昨年の大個展出品の小・中作品を中心とした油彩とボールペンのドローイングが並んだ。森と人間の関係の崩壊を危惧する「森への幻想」、絶滅危惧種への思いの他、美の定義の変遷を思う「うずめの面」に注目した。「より深く、遠く遥かにと夢を追う」現在92歳。(松)
