芸術院会員 清原啓一展
今年の新春に吉井画廊で新作を中心とした喜寿の個展を開催し、「八ケ岳」の大作を中心として日本の風土をテーマに新境地をみせたが、その第二段である。
清原氏は周知のごとく鶏、軍鶏をテーマとした作品で知られるが、鶏を追いながら鶏の背景の庭の様式化を推し進めてきている。樹と草花の中に群れをつくる鶏を精緻な観察眼のもとに単純化して生き物の気をキャンヴァスに内封する。その手法は日本画の琳派にも通じるものがある。金銀箔は使わないが、鶏が発する気と包み込む自然の気を生みだす空間を色面で構築していってるのである。そこから香る匂いは湿度ある日本のものであり、カラッとした外国の空気ではない。
「画面の奥から日本の風土が滲み出てくる仕事にしたいと念じつつ進めている」との清原氏の言葉がある。40年程前にヨーロッパからエジプト、ギリシャを旅し痛烈に感じた気候・風土の違いからくる文化の相違、その思いをずっと胸の内に秘めて描き続けてきたからこそ、清原氏しか描けない鶏が生まれたといえよう。
新春展出品の「天空八ケ岳」、そして新作の剣岳、富士、浅間を描いた作品にも鶏と同じ自然の気を捉える簡略化された色彩空間がある。それは静物の花の絵にも共通している。上掲の「しだれ桜の遊鶏」の情緒は格別である。
(松原)