| 90回記念国展キャンペーン
島田章三・鮎子 二つの個展より
国画会会員
島田 鮎子
●9月2日〜8日
● 日本橋三越本店本館6階美術特選画廊
半世紀有余にわたり共に絵を描き、共に同じ会に発表を続けたお二人が、来春90回展を迎える国展キャンペーンの冠のもと、時期を相前後して日本橋の百貨店画廊で個展を開かれた。
島田章三(1933年神奈川県生まれ、国画会会員、文化功労者)は国展出品の大作や未発表の近新作など30点を発表。旺盛な制作意欲と円熟ぶりを見せた。
今春の国展で発表され、きわめて高く評価された「鎌倉にひとり」(120F)が再び見る機会を得た。簡潔で力強い構造は氏独自のつくりだが、複雑な心象性と一筋縄では解けない奥ゆきを持つ。現代人の孤独だけでは済まされない。ある種不思議な作品だ。
ここでは新作の「怪獣やロボットもいるフリーマーケット」(100F)は珍しいモチーフだ。台上のグッズと二人の女性が、秩序正しい四角と三角の構成された空間に登場する。人間像と具象を探求しながらキュビズムを日本人の造形言語で翻案し、革新的な〈かたちびと〉を生み出した氏の、これも成果の一作である。
他に新作では「らせんかいだんとうみ」「枝の間から別荘がみえる」「花持ちて訪問」など懐かしい風景や佇むひとが、小品では主に静物作品が並んだ。
島田鮎子(1934年東京生まれ、国画会会員)は前回の個展「たおやかな詩情」(2006年、三越)から10年ぶりの個展。今展はみずから近況報告というように小品が多く、またその大半がコラージュ作品となった。しかも自分の作品集を切り抜いてドローイングの上に貼り合わせるという、彼女ならではの工夫があり、しかもいっそうの詩情が意外性を伴って漂い出ていた。掲出作「やわらかなひざし」(6号)もコラージュ作品の一つ。'80年代から試みられてきたが、メロディアスで洒落て洗練度を増した。国展出品などの油彩大作を含め30数点の出品。
なお、両先生が共に歩んだ半世紀以上に及ぶ画業を収めた作品集『国展とシマダイズム』が刊行される。 (中野 中)

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