国画会会員・坂谷和夫恒例の「絵馬」個展。ずいぶん長く続いている「絵馬」シリーズだが、81年に創作絵馬展を開催しているから、40年以上前からであろうか。人々の培った風習や文化、自然と人間に着目し、「絵馬」から抜け出した馬を作家自身とみなして想像の空間から自然を見るというコンセプトがあったように思えるが、今は純具象風景は消えて、象徴的な空間に自らを置く。
紹介の対作品は空想の波間を渡る黒い絵馬、満月の大きさを違えることでよりムーブマンを生じさせる。夢の中の芳醇な世界だが、色彩の煌めきが爽やかで澄明感がある。もの言わぬ絵馬だからこそ宇宙さえも自由に駈けることができるという作家の願望が内包されているようだ。(松)
