五味祥子 個展

ー羽化する人ー

 F130号、F50号各3点のシリーズ「羽化する人」を中心とした発表である。今年で早5年目を迎えるが、年々にその進化(深化)が窺え正に作品そのものが羽化(脱皮)しているようで興味深い。五味さんはこれまで、形を壊し、再構築させることで実面性から抜けた自分自身の世界を画面に定着させる展開をとってきたが、今回は女体を異空間世界に浮遊させ、横たわらせて同化させるというイメージである。その異空間が海の底であったり雪山であったりして、一種だまし絵的な要素が加わった感がある。深い森の中でも極端な話化石の中でも良いのだ。
 紹介の作品は、初め誰もが「雪山」と答えるだろう。そして見るうちに横たわる裸体を発見して驚く。何かに同化させて身を守ることは蛹の知恵である。そっと隠れて羽化を待つのである。
 テーマの持つ意味と画面からのイメージが深くより鮮明になってきており、絵画性をどう保って見せ場、視点を繋いでいくか今後の展開が楽しみだ。また画家の原点を彷彿とさせる「私の金沢」もセンスの良さが光った。         (松)

■10月1日〜6日 ■銀座 井上画廊