五味 祥子 油彩展

―羽化する人―


■ 9月12日〜17日

■ 銀座 井上画廊展

 

 「顏」シリーズから「胎動」を経て、「羽化する人」が発表されたのは2004年の春季二科展。それ以来このシリーズが8年にわたり継続されている。蛹から羽化し、短い現世を謳歌して子孫を残し、朽ちて自然に還る。いわば輪廻転生の思想が制作の根底にあるからこそ、多様な展開が可能となるのだろう。人の顏の奥にひそむ人生観の象徴具現から始まった制作意図は、大地の恵みに育まれて一生を終わる動植物に人を同化させ、更に生命の誕生の母なる海へとシフトした。
 今回の個展のメインは何と言っても400×200cmの超大作である。同時期開催の二科展の130号の作品(16頁)と対作品といえるが、海中をイメージした生命の循環の構図が決まり、制作佳境に入る時に3・11の大震災の報に遭遇したと聞く。強烈なショックの中、一時この超大作の右面半分が真っ黒の色になってしまっていた。そのなごりが逆に深みとなってこの作品が生まれた。母なる海(地球)の驚異の洗礼をうけた一作といえよう。左上から右回転に一生を象徴化して視点が流れていく。マチエルもいい。 (松)

 

 

 

羽化する人

キャンバス・油彩 400×200cm 2011制作