吉田民尚 巡歴展
《郷里の八女で》


●11月26日〜12月4日
● 八女文化会館多目的ホール展

 

 日展会員・吉田民尚(たみなお)氏が、故郷の福岡県八女市の文化会館で昭和34年〜平成27年の作品約20点を並べた巡歴展を開催した。何故巡歴かというのは、風景作家として鹿児島から北海道まで取材行をして作品を描いてきたことによる。野宿袋を担いで山野、海浜岸壁の現場で描いたエスキースをもとに日展、創元会等、氏の大作の殆どが生まれているからだ。作風はぐいぐいと押し込む力強いタッチが特徴で、油絵具の発色を重視した作品で、今もそのスタイルを貫いている。
 展示作品から4点を挙げた。「潮さい」は昭和57年、第14回改組日展で2回目の特選受賞作。佐渡での取材である。断崖の下に小さく広がる浜辺の漁村、荒波と風を感じる作だ。「白馬早春」の凛と震える冷気の空間感、熱海の開けた昼光溢れる佇まいの切取り口も面白い。「鎮魂佛浦の八女津媛」は3年前の日展出品作。日本書記にも登場する八女一帯を治めた女神をテーマに物語風に風景と重ねた。
 吉田民尚は昭和3年、福岡県八女郡笠原町(現八女市黒木町)生まれ。昭和29年、日展初入選。41年、日展特選、平成6年、日展会員に就任。12年北京・西安・上海展を開催。88歳。  (松)

 

 

白馬早春

 

 

 

熱 海

鎮魂佛浦の八女津媛

潮さい